須田幸英税理士事務所 事務所通信 平成25年5月号掲載
東北電力3期赤字
   先日、東北電力の決算が発表されました。
それによると2013年3月期の連結最終損益は1,036億円の赤字となり3期連続の赤字ということです。2011年3月期の自己資本は827,330百万円(自己資本比率20.5%)であったのに対し2013年3月期の自己資本は483,668百万円(自己資本比率11.3%)まで減少しています。
 まだ債務超過に陥っていないとはいえ、有利子負債は2011年3月期の1,994,780百万円から2013年3月期には2,459,436百万円に増加しています。
  これからも毎期1,000億円ずつ赤字が続けば、5年で自己資本はなくなり債務超過に陥ることとなります。このまま何もしなかったら破綻する可能性も否定できません。
 安定した電力の供給を望むならば、電気代の大幅な値上げを受け入れるか原発の再稼働かを選択しなければなりません。
  どちらが現実的でしょうか?
 また、人件費圧縮で値上げ幅を抑えるため、今夏のボーナスの支給は見送ることとされたようです。
 これに対し皆さんはどう思われますか?
 「社員の士気が下がるのではないか。」あるいは「値上げ幅を少なくするためボーナス支給を止めるのは当然だ。」という人もいることでしょう。
 しかし、このままで良いのでしょうか?
原発についてはいろいろな意見があると思いますが、再稼働するにしても、廃炉にするにしても現場のわかる原子力の専門家が絶対に必要です。
 いつまで、ボーナスの支給を停止するのかはわかりませんが、このような状態が続くようでは、優秀な若い人が入社しなくなるのではないかと危惧されます。
 若い人が入ってこないということは、今いる人が次第に引退するため、いずれ日本から現場のわかる原子力の専門家がいなくなることを意味します。
廃炉にしても30〜40年かかるといわれていますので、その時点でしっかりした現場のわかる専門家がいないということはとても危険なことです。
 もしも、各電力会社において若い原子力の専門家を採用する余力がないのであれば国の責任で、一括して採用し各電力会社に派遣したらどうかとさえ思います。
 原発に対しては、目先の感情論が先行する傾向がありますが、日本にとって、人類にとって何が正しいか冷静に考えてみる必要があるのではないでしょうか?
                所長 須田幸英
 事務所通信5月号掲載
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